ESqUISSE(エスキス)

ESqUISSE(エスキス)とは素描。絵画や建築の図面におおまかな線で描くことで生まれるものです。

料理人は何よりまず職人(アルチザン)です。素描(エスキス)という手法を使って料理を創作しますが、料理は“ 決定的な作品” にはなりません。
料理人のアイデアひとつひとつが味というはかない形を取るものです。それは私たち料理人の感情やインスピレーション、欲求や情熱が、ある瞬間現れたもの…。
ひと皿が生まれるとき、それは終わりのない道の過程でしかありません。

日本は肥沃な土壌とそのまわりを囲む豊かな海に恵まれています。そこに住む人々は発想が豊かで魅力にあふれています。どんなシェフでも自分を表現するため、最高のキャンバスをそこに広げたいと思います。

すべてがスピードアップして、画一的になり、自然な形から遠くなる一方の現代社会。今私たちに必要なことは、本質的な行動に戻ること、本当に必要なもの、シンプルな生の喜びに回帰することではないでしょうか?

料理は80 万年前に生まれました。人類が火を発見し、それを使うことを習得した時にさかのぼります。食物は火を通す方が身体に消化されやすいということが本能的に分かったからです。そしてそのとき初めて5つめの感覚、すなわち“ 味覚” が呼び覚まされました。 以来、食物に栄養を求めるとき、同時に味覚的な欲求や満足を求めるようになったのです。

おいしいものを食べて健康を保つことを求める、このシンプル極まりない関係、美味しい喜びと健康は同一であることを皆様と分かち合いたいと願っています。

リオネル・ベカ
Lionel Beccat