私はいつも、沈黙が破られる儚い瞬間に心を奪われてきた。おかしく聞こえるかもしれないが、沈黙はすべての始まりだ。それを聞く耳がなければ、音は存在せず、ただの空気の息吹、さまよう振動に過ぎない。私はこうした瞬間を待ち伏せることを学んだ。風に揺れる枝の震え。雪に刻まれた足跡。夜に囁かれた秘密。香りの道筋。夜明けの鳥の歌。
それらは誕生だ、小さくも無限に。永遠に繰り返される。もし私たちがこうした瞬間を大切にすれば、音を通じてこの世界に生きる私たちの在り方に真に耳を傾ければ、再びその美しさに心を打たれるだろうと信じたい。
料理人として、私たちは声なきものに言葉を与えようとする。動物的で有機的な、私たちに託された全ての命に。彼らにこう語らせるのだ——私はここにいた、生きた、この大地を君と分かち合ったと。私たちは彼らに声を与える。最初で最後の声を。それは計り知れない責任だ。
このハマグリ。
このゴーヤ。
このズッキーニ。
このラベージ。
このトウガン。