無理に道筋を作ることが無意味なこともある。
私たちが進む道を光で照らすには、クリアで本質的な思考に従うだけで十分なのだ。
光を染み込ませ、大切なものを形造り、強調し、私たちはそれに寄り添って、共有したいトーンに合わせて指先で微妙に調整しなければいけない。
また、料理という行為を支配するルールのひとつは譲れない。私たちは、料理している素材の下に、自分たちのトーンを設定しなければならない。無意識のうちに素材が存在することを助け、形造り、素材の声を聞き、従うのだ。
ここで私は、カブとイカを一緒にして、個性を強調しない穏やかな状態で彼らに対話させることを考えた。「味覚的な沈黙」を昇華させ、静けさの中で、ある種の「裸の対話」をさせることを選んだ。
カブはカブの水でポシェし、イカはシンプルに切り込みを入れ、イカのスープでア・ラ・ミニッツでポシェする。
粕酒と発酵バターでほんのり引き立てられた澄んだイカのジュが、2人の絆を完成させる。
この 「無 」を強調するために、何か刺激するものが必要だったので、自家製ボッタルガのスライス、マンダリンオレンジ、セルヴェル・ド・カニュ、そして苦味のあるオリーブオイルを選んだ。
リオネル・ベカ