Restaurant ESqUISSE | レストラン エスキス

Behind the Dishes

2024.01.26
WINTER LAND|ハタ、甲州ワイン、フキノトウ、姫レモン、雪菜

能登にて  穏やかな冬の昼下がり

寒い冬の朝、この料理をイメージしました。雪の下から摘み取るような厳しい収穫を想う、特別な感覚を表現しようと思いました。寒さに関わらず生命は育ち続けます。このような自然の恵みを、もっと謙虚に、敬意をもって迎えなければならない。これらの果物、野菜、魚は、厳しい気候に耐えるために驚くべきエネルギーを発揮し、そして私たちにその身を差し出してくれているのだから。

この料理では、分析や直感を超えて、この全ての生命を温かい所に戻したいという、漠然とした願望に導かれました。巣のような、シルクの繭のような。

 

日本の冬は厳しく、本州北部や北海道に行くと氷の世界です。気温が下がるにつれて、世界はゆっくりと凍りつきます。まるで雪が人生を重くし、モノクロームの詩で包みこみ、人々にゆっくりと生きることを強いているかのようです。

 

ですから、都市から離れ、空虚な時間の流れを体験し、白の広大さに身を任せ、静寂を理解することが必要なのです。

この白、雪景色への憧れはユニバーサルな感情であり、私はしばしば、なぜ私たちはそれを共有しているのかと考えてきました。不思議なことに、この疑問に対する答えを探しているうちに、感覚的で、誰にでも聞こえる言葉が思い浮かんだのです。

この閉ざされた自然に特有の言語であり、無言の言葉であり、白で包まれた弔いのない小さな死と、生への回帰の約束がそこにあるのです。