ほんの小さな魚、でも。
しっかり火を入れなければならない。しかし焼き過ぎてもいけない。
全体を食べられるように。すなわちそしてその存在の全てを表現できるように。
頭だけはサクサクに。肝はその甘みのある苦味を感じられるよう、
火入れはやさしく、タンパク質が凝固するぎりぎりの温度で。
尾っぽは軽く乾く程度に。背側はそれほどでもなく、
軽く水分を飛ばす程度に、しっとりと火を入れる。
十分に火の入った身の1ミリ下に水分を閉じ込めるよう、火力の惰性を調整する。
それが15gという小さな魚の為のアートである…
多くの試みを経た、その手順は以下の通り:
小さな生き物たちを1時間、醗酵キノコ水とキュウリ水に漬けて、よく水気を切る。
動きのあるきれいな形に串を刺す。肝は刺さないよう注意。
12時間冷蔵庫で乾燥させる。
30分常温に置き、稚鮎を目覚めさせる。
ヒートガンを使って、2cmの距離を保ちながら170℃の熱風で炙る
頭の上から30秒、顎の下は15秒。背骨は5秒ですばやく往復。
空気をゆるく対流させた150℃のコンベクションオーブンで7分焼く。
オーブンから出して10分休ませる。
再び125℃のオーブンで3分焼く。5分休ませる。
稚鮎を優しくゆっくりと金串から外す。
サーブする直前に、キュウリ水を吹きかけ、
240℃のオーブンで1分45秒焼く。