私たちのレストランがカーテンを降ろした2か月間。それはとても辛いものでしたが、それにも関わらずポジティブな効果が生まれました。少なくとも私はそう願っています。
また、この試練は私たちを覚醒し、家で待機した時間がシンプルで大切なこと、文学、哲学、詩、芸術、美の感覚を取り戻させ、感受性や熟考すること、内面に向き合う心を目覚めさせたと信じています。
私個人にとっては、この2か月で一つの大切なことに気づきました。それは、2020年6月まで私の料理は恐れを内包していたということです。やりすぎるのでは、足りないのでは、評価されること、誤解されること、不快に思われるのでは、インスピレーションが足りないのでは、シンプルすぎる、または複雑すぎるのでは、という恐れを感じていたのです。しかし、料理から離れた2か月は、私に真の恐怖を教えてくれました。私にとってこれ以上ない苦しみ、それは「料理ができなくなること」でした。
ですから、それから私は小さい恐れから解き放たれ、やりたいことを全てやってきました。長年つくりたかったのですが、あえてやらなかった極めてシンプルなトマトのパイ。皮肉なことに、これほどお客様を感動させた料理はないようです。
(2020年6月、ESqUISSEを感染拡大防止のため臨時クローズした後に書かれました。)
ネペタオイルに漬けたオーガニックチェリートマト
ワイルド アニス シード
ピサラ
山羊チーズのクリーム
貝
レッドペッパー
トマトシロップ
バローロビネガー
ハーブ